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183月 2021

第8回鳥取大学医学地域医療学講座あり方懇話会を開催しました

2021年3月2日17:30-19:00に、第8回鳥取大学医学地域医療学講座あり方懇話会を開催しました。昨年はコロナ禍により懇話会を開くことができませんでしたが、今回はオンライン形式ですべての委員にご参加いただきました。私から2019,2020年度の活動報告をしました。あらためて振り返ってみると、地域医療学講座ができて10年が経過しました。地域医療のサテライト教育施設が2ヶ所となり、教官も充実し、教育内容もかなり深まってきたと感じています。とくに、日野病院(地域医療総合教育研修センター:2014~)、大山診療所(家庭医療教育ステーション:2019~)で、実際の外来患者や在宅医療を体験できるようになり、学生にとってプライマリケアの現場の実践型体験として、非常に貴重な機会となっています。学生からの評価も高く、「はじめてきちんとカルテの書き方を学んだ」「患者さんを見ながら鑑別や対応は予想以上に難しい」「入院患者さんのはじめから終わりまで一貫してみられた」「患者さんの生活や家族の背景をみる重要性を学んだ」など、かなり手ごたえを感じられる感想があがっています。また、医学科4年の地域医療体験では、文化人類学者と協力してエスノグラフィーを教育に応用しています。おもにプライマリケアの現場を訪問し、医学生としてあまり経験できないような、自らを相対化するプロセス(メタ認知)に取り組んでもらいます。家庭医療関連の研究も少しづつですが進みつつあり、定期的な輪読会や研究カンファで、アカデミックな議論もレベルアップしてきたと感じています。
2020年度は新型コロナ感染のため、臨床実習や地域医療教育に大きな影響があり、例年の半分程度しか実習ができませんでした。しかし、そのなかでもオンラインでの模擬診察やフォトボイスを使った身近な生活の振り返りなど、教室独自の取り組みをおこない、井上和興講師が医学部教育功績賞、地域医療学講座が学長表彰を受けました。あらためて、当教室には本当に医学教育への熱意にあふれた教官が多いと感じます。さて、2023年度からの医学定員の見直しに伴い、地域枠の位置づけが問われています。いままで地域医療学講座、地域医療支援センター、卒研センターがばらばらにアプローチしていた体制を変え、地域枠学生にとってシームレスな支援が求められます。今後は、卒後のキャリアや組織作りも含め、よりいっそう教室の役割が重くなっていると感じています。

委員の方々からは、
・大山診療所ではどんな患者や領域を診療しているのか。
・サテライトの運営や雇用条件はどうなっているのか。
・新たな医局員は増えているのか、教室の存続のためには重要な課題である。
・初期研修での一般外来の必修化は、大学病院総合診療外来の役割として打ち出せる追い風となるのではないか。
・医学知識やプロフェッショナリズムだけでなく、質的に深い学び、すなわち「教養」を身につけられるような教育をしてほしい。
・総合医を育てる際に、実習や学習する場の多様性が非常に大切ではないのか。大学病院と市中病院では患者層がかなり違うので、それぞれの特性をうまく組み合わせればよい。
・異文化交流のできる医療者という目標が素晴らしい。
・10年間でよくここまで広範な仕事をされてきたと感心する、今後も地域医療を担う次世代の人材育成をしっかり頼みたい。
・日野地区での取り組みは、医療、包括ケア、一患者の視点、いずれから見ても、意義深いものと感じている。
・地域住民は、総合医に診てほしいと期待があるので、ぜひ総合医育成を続けてもらいたいし、協力していきたい。

といった建設的な意見が多々寄せられました。委員の皆さんに、教室活動を高くご評価いただき、たいへん励まされました。

今後も、今回のコメントやご意見を参考にしながら、よりよい地域医療人材の育成に努めていきたいと思っています。貴重な意見をいただいた員の皆さん、そして、教室をここまで育ててくれたスタッフの仲間に、深く感謝したいと思います。

2021年3月7日
地域医療学講座 教授
谷口晋一


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