いのちの授業@日野中学校
7月10日に日野中学校3年生を対象に「性感染症とその予防」について授業してきました。同行してくれた実習中の医学部5,6年生が、デートDVの寸劇やコメントをしてくれました。
みなさんは、「包括的性教育」という言葉を知っていますか?性教育は「セックス教育」ではありません。性交や出産だけでなく、人とのかかわり方や相手の立場を考えることとしてとらえ、科学・ジェンダー平等に基づく性教育のことです。「包括的性教育は若者の性行動を促進することはなく、むしろ責任感を高める」ということが国連機関などの研究により示されています。
日本性教育協会「第7回青少年の性行動全国調査」(2012年)では、Q.性について知りたいことは?の質問に対して「A.特にない」と答える割合が、中学男子では60%であるのに対し高校男子では2.5%に減少します。統計を見ると、興味は「避妊の方法」「性感染症」に移っているようです。
中学生~大学生を通じて「恋愛」についての興味は高いようですから、性についての興味が高まるのは当然ですね。学校の先生は「興味のある時に教育を行うのが効果的」と言われますが、残念ながら高校での保健の授業でも教育の機会は十分に確保されていないところが多いようです。個人的には、タバコやアルコールの教育をすることと同様に、性に対する興味や経験があろうとなかろうと、二次性徴を迎える頃には早い時点で正しい知識を学ぶ機会が与えられるべきだと思います。
情報過多のこの時代では、間違った表現の動画情報などでゆがんだ性イメージを持ってしまうリスクもあります。「死」と同様に、日本人の文化的、心情的に触れにくいテーマであるからこそ、医療側から教育に関わることの重要性を感じています。
45分という短い時間では行動を考えてもらうまでには至りませんでしたが、コンドームの「正しい」使い方、パートナーがいるのに持っていないのは非常識、コンドームを使ってくれない相手とは別れなさい、などとおばちゃん女医のちょっとビビットなメッセージが少しでも頭に残ってくれるといいなと思います。(紙本)