ゆるい読書会を開催しました(2021年4月) 国境のない生き方 ー私をつくった本と旅ー ヤマザキマリ
テルマエ・ロマエの作者で、 コスモポリタンを地でいくヤマザキマリさんの生き方。私は、 その破天荒で腹のすわった生き方に魅かれて、この本を紹介した。 でも、読書会での反応は、予想外のものだった。「 あまりピンとこない」「共感しづらい」「 生き方を押し付けないでほしい」と。そっか、「 国境を越えなさい」というちょっと断定的な言いぶりも、 確かにあるなと思い返した。いっぽうで「 昭和のミーハーおばちゃん」「頑固というよりたくましい柔軟性」 といったナルホドなコメントや、「 国境をこえる生き方はそもそもないのでは?」という、 うがった意見もあがった。そこから、 自分のコミュニテイの文化の中に居続けることのメリット・ デメリットの議論になり、 日野や大山で一生暮らしてきた人たちが必ずしも不幸ではないので は、いやいや、 自分世界だけではなく別の世界もあると認識しているのが大事など 、いろいろな意見がでた。「心の国境をこえるという意味では、 国内の違う文化圏も同じ」であり、国境という言葉から、 国の境目でなく、他者との境、 エヴァンゲリオンのATフィールドも連想されて、 議論はさらに広がっていった。個人的には、 昭和の学生運動のころの大きな物語を語る時代のなかで育ったノス タルジーという言葉で、なるほどノスタルジー成分もあって、 魅かれたんだなと思った。
やっぱり読書会は面白い。 一人で読んだときには考えもしなかった感じ方をする人がいる。「 へえー、そうなんだ」と思い、 そこから互いの価値観の深い部分につながっていく。「読書会は、 本を媒介にして、自分と他者の内面を開いていくプロセス」 ーと書いてみて、そんなに難しく考えず、 思ったことを率直に語り合える「場」、 それだけで十分じゃないかと、 思わず自分に突っ込みを入れたくなった。(谷口)