レジデントデイ 「患者中心の医療の方法」読書会
7月10日のレジデント・デイでは、「患者中心の医療の方法 第3版」の読書会をしました。
2年間の初期研修を経て「総合診療って楽しそう!やってみよう!」という気持ちで総合診療・家庭医の世界に飛び込んでみた(無謀!)ものの、肝心要の家庭医療の理論面については赤子同然に知らない事だらけでしたので、今回の読書会は自分にとって患者中心の医療の方法の根底にある理論を学ぶ良い機会となりました。
今回の読書会の自分自身の最大の学びは患者中心の医療の方法の理論自体は大きく変化はしないものの、実践する方法が患者さんや場所、地域性、宗教、文化に応じて動的(dynamic)に変化するものであるという事です。
本の中に著者である指導医が病棟の中を歩いていた所、彼(または彼女)の下についている学生が患者を「FIFEする」(FIFEとは患者さんの「病気の経験」を聴く時に使う4つの要素の頭文字の事)と言っているのを聞いて愕然とした、と書かれています。自分自身も研修医になりたての頃は救急外来でOPQRST(痛みの性状を症候学的に把握するための6つの要素)やAMPLE(患者さんの病歴を効果的に聞くための枠組み)を聞く事に必死になっていた(しばしばOPQRSTやAMPLEの「抜け」がある事はカンファレンスで同僚や上席医のやり玉にあげられていた)ので「FIFEする」と言った学生の気持ちは痛いほど分かります。ただ、重要なのは「FIFEを全部聞いてカルテを完成させる」事ではなく「患者さんの「病気の経験」を共有するためにFIFEというモデルを使う」事だったと思います。相手に応じて動的(dynamic)にやり方を変えられるという所が総合診療・家庭医の世界の面白さであると改めて気付かされました。
今回の読書会で得られた理論・知識を日常の臨床の振り返りに応用してみよう、と思えた読書会でした。(小原)