地域枠学生向け映画上映+対話の会を開催しました。
2022年12月9日、16日に、地域枠学生向けイベントとして、短編映画『うちげでいきたい』(12/9)と『下街ろまん』(12/16)の上映会+対話の会を開催しました。
『うちげでいきたい』は在宅看取りをテーマに2022年3月に完成した39分の映画で、自宅で最期を迎えたいというある高齢女性とそれを支えようとする家族の物語です。観終わった後、参加した学生たちと「もしバナゲーム」を使って、自分が最期のときに大事にしたい3つのことをテーマに、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)についても考えてもらいました。
ある学生の感想を紹介します。
「この映画でとても印象に残ったことがあり、それはおばあちゃんの疾病を知ったときに家族みんなが変わっていったことです。もし家族が病気のことを伝えられていなかったら、後悔することがたくさんあるのではないかと思うと、伝えることの重要性を感じました。
映画を鑑賞したのち、参加者で自分の死に際で大切にしたいことについて話し合いました。私は、「自分の人生について振り返る」、「大切な人にお別れの挨拶をする」、「自分の死生観を語る」という三つを挙げました。みんなそれぞれ自分の大切にしたいことが違って、こんなにも違うものなのかととても驚きました。それだけ、今回の映画で見た最期が正解なのではなく、それぞれ人によっての正解があるので、自分たちで考えなければいけないのだと思いました。」
12/16に観た『下街ろまん』は、あるうつ病の青年が街の人とのつながりを通して健康を回復していく物語(25分の映画)で、東京の下街(谷中・根津・千駄木)を舞台にしています。この映画を観て、健康と地域の関係性、人のつながりとウェルビーイングについて考えました。
ある学生の感想を紹介します。
「今回のイベントでは映画『下街ろまん』を視聴し、うつ病についての理解を深めることができた。主人公の青年は映画の序盤で自身がうつ病であることを告げられるが、友人にそのことを連絡しようとして、やっぱりやめるというシーンがあり、うつ病は身近な人に言い出しにくく、相談しにくい病気であるということが分かった。その後、彼がカフェの店員の女性と出会い、それをきっかけに様々な人と関わりながら徐々に病気から回復していく過程がとても印象に残った。最後のシーンでは、主人公が街に完全に溶け込んでおり、笑顔もみられたので、人との交流が彼を回復に向かわせたということを確信することができた。」
このような映画を使った医療者教育を「シネメデュケーション(cinemeducation)」と言い、世界的にプロフェッショナリズムや共感の教育の一貫としておこなわれています。今後も映画やアートを用いた教育で、医学生の共感や多様なコンピテンシーの教育を試みていきたいと考えています。
(孫大輔)