インドネシア研修3日目です。今日はJepara(ジェパラ)というSemarang (スマラン)から車で3時間ほどの郊外を訪れました。ここでは3施設を見学させていただきました。
一つ目の施設はプスドゥ(pustu)と呼ばれる施設で先日訪れたようなプスケスマスよりは小規模ですが、ポシャンドゥと異なり、薬を渡す等の治療を行う機能を持っています。
今回訪れたプスドゥのある周辺の地域はスマランの市街地より、貧しい人が多く、また木を加工して家具や置き物を作る産業が盛んでこの二つの要因によって結核の患者さんが多い、とのことでした。そのため、結核患者さんへのアプローチ方法を学ぶことができました。まず感染症が疑われる患者さんについてはスクリーニングを行った後、他の患者さんとは隔離します。隔離した患者さんに、医師はガウンなしで、マスクとフェイスシールドだけで対応します。医師の対応としては結核に対してTCM(WHOが推奨する迅速分子検査法です。結核菌の特定遺伝子配列を増幅して検出します。)を行い、結核と診断された場合には4種の合剤を提供します。結核の患者さんのご家族には予防用の治療薬も存在します。しかし、この予防薬は活性化された結核菌を持つ人としっかり接触した(する)人にしか投与できません。他のほとんどの人には予防策としてビタミン剤の投与と日光に浴びることを推奨しているようでした。本当に効果があるのか疑いたくなるような予防法に驚きました。
地域に根ざした医療を提供する、地域密着型医療の鏡だと私は今回のプスドゥを見学させていただいて感じました。
二つ目の施設はプスケスマスです。ここでは3週間、プスケスマスで実習を行った医学生さんの調査結果のプレゼンテーションと学生さんが作った啓発ビデオを見せていただきました。医学生の方がその地域で調べた人口や人口構成、喫煙者の割合等のデータとそこからの分析といったプレゼンテーションでした。短いビデオではタバコへの啓発が主題となっていました。インドネシアでは小学生に入学する前からタバコを吸っていたり、若年での喫煙が特に問題となっています。国とタバコ会社の癒着も強く、タバコが国の財源になっていることもあって、学校でもタバコの害は教わりません。それどころか、学校の先生がタバコを吸っている影響でタバコを吸い始める学生も多くいます。タバコが周りの人に害を及ぼすという認識や教育の改善が必要だと思いました。
本日最後の施設もプスケスマスでした。二つ目のプスケスマスより大きく、感染症のための隔離室や、PCRを備えた施設でした。薬局、歯科も施設内に併設されており規模の大きさを伺えます。最も印象に残ったのは避妊に関する認識の違いです。今、日本では人口を増やそうとさまざまな方法が考えられています。一方で、人口の増加が留まるところを知らないインドネシアでは政府が一家族の子供の数を2〜3人に抑えようとしています。そのため、避妊は女性は無料で行え、男性は逆に国からお金をもらえます。また国民も避妊にはプラスのイメージがあるようで、日本ではない考え方で驚きました。このような政策と国民の意識が少子高齢化を招くのではないかと懸念しています。
最後に朝早くから迎えにきてくださって、一日中、学生の数えきれない質問に答えてくださったインドネシアの先生方と訪問させていただいた施設の関係者の方に心から感謝申し上げます。
医学科2年 S

