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710月 2025

第16回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会@札幌に参加しました(6月20-22日)

2025年6月20日から22日に札幌で開催された第16回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加しました。学会に先立ち、6月20日には前日祭企画として十勝コースに参加し、更別村診療所などを見学しました。地域に根ざした診療の現場を直接拝見し、診療所が担う役割や地域とのつながりのあり方を実感できたことは、学会本番への大きな導入となりました。

学会期間中は全国から家庭医、総合診療医、学生、研修医が集まり、多彩な発表や議論が繰り広げられました。鳥取大学地域医療学講座からもいくつかの発表を行い、特に地域枠学生によるポスター発表は注目を集めました。演題は「持続可能な地域医療体制を目指して:鳥取県中山間地域におけるフィールドワークの成果」で、県内6つの地域を訪問し、医療従事者や住民へのインタビューから課題と強みを明らかにしたものです。人口減少や人材不足、高齢化といった共通課題に加え、地域コミュニティの結束力や多職種連携の強さといったポジティブな側面も描き出されました。学生たちはKJ法を用いた分析を通じて「ジェネラルマインドの普及」「医療DXの推進」「地域の魅力発信」などの具体的な提言をまとめ、聴衆に大きな刺激を与えました。若い世代が現場の声に耳を傾け、自らの言葉で地域医療の未来を語る姿に大きな希望を感じました。

私自身もいくつかのシンポジウムに登壇しました。「ネガティブ・ケイパビリティ」をテーマにしたセッションでは、医療現場において「答えの出ない問いと共に生きる力」がいかに重要かを議論し、参加者からは「日々の臨床で抱えてきた感覚に言葉が与えられた」との感想もいただきました。「家庭医✕スターバックス」のシンポジウムでは、家庭医療が地域社会や文化と交差する多様な姿を語り合い、診療や教育とはまた違った切り口から考える時間となりました。さらにオンデマンド企画「現象学するプライマリ・ケア」では、医療の経験を哲学的な視座から捉え直す試みを紹介し、こちらも多くの方に新鮮に受け止めていただけたように思います。

今回の札幌大会は、前日祭企画での地域診療所の見学から学生の挑戦、そして各シンポジウムでの対話に至るまで、地域に根ざした医療の未来を考える貴重な時間となりました。鳥取からの取り組みが全国の仲間たちとつながり、さらに広がっていくことを願いつつ、充実した三日間を振り返っています。

(孫)

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