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2210月 2025

糖尿病治療中断に関する共同研究論文がPublishされました(9月30日)

このたび、環境予防医学分野の桑原祐樹先生が中心に進めてきた共同研究が、BMJ Open誌に掲載されました。タイトルは “Psychosocial factors and patient experience associated with diabetes treatment discontinuation: a cross-sectional study in Japan”(BMJ Open 2025;15:e103345)です。

本研究は、日本における糖尿病患者の「治療中断」に焦点を当て、心理社会的要因や患者体験がどのように関わっているかを全国調査で明らかにしたものです。オンライン調査を通じて40〜79歳の糖尿病患者4715名を対象に分析しました。

 

論文要約(日本語)

  • 背景:糖尿病は適切な治療を継続することで合併症を予防できますが、実際には治療中断がしばしば起こります。本研究は、その背景にある心理社会的要因を検討しました。
  • 方法:心理的要因(心理的苦痛、自己肯定感、先延ばし傾向)、社会的要因(孤独感、経済的困難、逆境的子ども時代体験)、さらに治療に関する患者体験(糖尿病バーンアウト、介護負担、経済的困難など)を調査しました。
  • 結果:69名(全体の約1.5%)が治療中断群でした。治療中断は、心理的苦痛(AOR=1.87)、先延ばし傾向(AOR=2.64)が有意に関連していました。また、治療中断群は、経済的困難、介護負担、糖尿病バーンアウトを有意に多く経験していました。
  • 結論:糖尿病治療の中断は、単に医学的要因だけでなく、心理的・社会的背景や患者の体験と深く関係しています。治療継続を支援するためには、医療者がこうした心理社会的特徴に目を向ける必要があります。

今回の成果は、環境予防医学講座との協働によって実現したものであり、糖尿病患者支援における「医療と社会の接点」の重要性を改めて示すものとなりました。

 

◯論文はこちら
BMJ Open. 2025;15:e103345.
DOI: 10.1136/bmjopen-2025-103345

(孫)

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