日野病院で働いていた李英伊(イ・ヨンイ)先生に日本病院総合診療医学会で再会しました(9月 27日)
李英伊先生とは日野病院ではじめて出会った。韓国で新聞記者をされていたが故あって医学部に入りなおし、日本で初期研修を受け日野病院で働くという変わった経歴の人である。話を聞いてみると、パートナーが自前で船を作る仕事をしており、それもあって日本で働いているとのこと。日本の田舎へ異国か飛び込んでこられた勇気に感心したものだ。その後も、甲状腺疾患や副甲状腺疾患などの患者のことで相談を受けたりしていたが、2021年には韓国に帰国され、連絡は途絶えていた。ところが、2025年7月初旬に彼女から突然メールが届いた。
「いま韓国でホスピタリスとして働いています。今年創立した韓国の病院総合診療学会(韓国名:大韓入院医学会 KAHM)の運営委員としても活動しています。韓国では去年から医大定員増員問題をめぐり、ほとんどの研修医が辞職し、医療空白が深刻です。そこで患者を診るホスピタリストを増やそうとの動きが始まっています。」
ということで、日本のホスピタリスト学会と大韓入院医学会をつないでほしいので、ホスピタリスト学会の誰かを紹介してもらえないかという提案であった。
ちょっと荷の重い依頼だなと思ったが、たまたま病院総合診療医学会(JSGHM)で副理事長を務める岡山大学の大塚文男教授を知っていたので、彼を紹介することにした。その後に、大塚先生へ韓国の先生たちからコンタクトがあり、姫路での病院総合診療医学会に訪ねてくるとのこと。その際、大塚先生からbusiness meetingを予定しているので、谷口先生も参加してほしいという依頼があった。私は病院総合診療医学会員ではないので少し迷ったが、私が仲介した経緯もあり、今回だけmeetingに参加することにした。
学会当日、姫路の会場で李先生をはじめとする韓国の訪問団にお会いした。李先生は相変わらず日本語が堪能で、同行した延世大学のKyong先生・嘉泉大学のRa先生らのメンバーを紹介してくれた。その後、病院総合診療医学会の田妻会長、大塚副理事長、内藤副理事長らとともにmeetingにのぞんだ。李先生の所属するKAHMはまだ歴史が浅く構成員も多くないが、韓国でのホスピタリスト地位向上のため、モデル病院における安全管理や患者サービス向上という観点から研究し報告しているとのことだった。対して、日本病院総合診療学会の現状を田妻会長が講演され、学会員は若手を中心に右肩上がりで増加し会員数2500名、年2回の学会開催、専門ジャーナル創設など、アカデミアとしての形式を整えつつあるとのことであった。今後も互いの交流を促進し、日本と韓国におけるホスピタリストの価値を高めていこうという話に落ち着いた。
李先生は現在、ソウルの東方にある韓国江原道カンヌンアサン病院で働いている。彼女自身はホスピタリスと家庭医の両面をあわせもつ人物だが、韓国の医療界のなかで、新たな波を興そうとしている気概に感銘を受けた。日野病院の頃と全く変わらぬ、まっすぐで真摯な姿勢を感じた。
今回の交流を契機に、少しずつでも韓国と日本の協働がすすみ、今後のKAHMの発展につながることを祈っています。
(谷口)
キョン・テヨン大韓入院医学会会長(左)と田津間進日本病院総合医学会会長(右)が27日、姫路市学術大会で協力を誓約した。
先日の病院総合診療医学会での韓国メンバーとのミーテイングの記事です。https://www.pharmstoday.com/news/articleView.html?idxno=340689
(ハングル表記ですがGoogle翻訳で読めます)
李先生の紹介記事
中央日報
https://n.news.naver.com/article/025/0003454093?sid=110
江原道民日報
https://www.kado.net/news/articleView.html?idxno=1315800



