医学史講義「脳と心の医学史」を担当しました(10月2日)
2025年度の医学史講義で、「脳と心の医学史—精神医学と総合診療の観点から」というテーマの授業を担当しました。
授業では、なぜ医学生が医学史を学ぶ必要があるのかという問いから始め、古代ギリシアのヒポクラテス、プラトン、アリストテレスによる「魂」や「心」の考え方から、デカルトの心身二元論、フロイトやユングによる精神分析、そしてフーコーやバザーリアらの反精神医学運動まで、脳と心の理解がどのように変遷してきたかをたどりました。
一方で、総合診療・家庭医療の立場からは、「心の問題」を単に脳や精神の異常としてではなく、身体的・心理的・社会的要因の相互作用として捉える視点(生物―心理―社会モデル)を紹介しました。ドラマ『19番目のカルテ』の一場面も題材に取り上げ、学生たちとともに「患者の苦しみをどう理解するか」「医療がどのように人を包み込むか」を対話的に考えました。
医学史は過去を知るだけでなく、現代医療を問い直す手がかりでもあります。学生たちのまなざしの中に、その問いを生き生きと見つけることができました。
(孫)


                                                                        


