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2111月 2025

論文「Playback Theatreの現象学的研究」がCureus誌に掲載されました(10月13日)

このたび論文“Witnessing, Embodying, and Connecting: A Phenomenological Study of Playback Theatre”が、国際誌Cureusに掲載されました(Cureus 17(10): e94507, 2025年10月13日発刊)。

本研究は、参加型即興演劇であるPlayback Theatre(プレイバックシアター)を題材に、人々が「他者の物語を聴き、演じ、共に生き直す」体験を通して、どのように自己理解(self-awareness)と共感(empathy)を深めるのかを、現象学的手法を用いて探究したものです。

研究の概要

東京で開催された6回のワークショップに参加した44名の参加者の自由記述をもとに、解釈的現象学的分析(Interpretative Phenomenological Analysis: IPA)を行いました。分析の結果、Playback Theatreの体験は以下の3つの側面に整理されました。

  1. 自己の気づきと変容(self-awareness and personal transformation)
    ―身体的表現を通して感情を解放し、自分自身を新たに理解する体験
  2. 他者への共感と共鳴(interpersonal resonance)
    ―他者の物語に触れ、共に感じ、つながりを実感するプロセス
  3. 身体的・社会的な癒しの場としての演劇体験(embodied and social reflection)
    ―安心・信頼のある空間で、自他の境界を越えた“共なる理解”を経験する

このような体験を通じて、参加者は自分の内側と外側、言葉と身体、個人と集団のあいだに新しいつながりを見出していました。

医療人文学的意義

Playback Theatreは単なる演劇活動ではなく、「人が人の物語を生き直す」ことで共感と癒しを生み出す社会的アートです。本研究は、現象学的アプローチを用いてその体験の深層を記述した初の実証的研究であり、医療人文学・表現芸術療法・心理社会的ケアの分野に新たな知見を提供します。

医療や教育の現場においても、このような「語りと身体を介した対話」は、患者や学生との関係をより人間的に捉え直す契機となります。

(孫)

論文情報
Son D, Shiozawa M.
Witnessing, Embodying, and Connecting: A Phenomenological Study of Playback Theatre.
Cureus 17(10): e94507, 2025.
DOI: 10.7759/cureus.94507

https://doi.org/10.7759/cureus.94507

 

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