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288月 2025

義務年限が終わって、ようやく見えてきたもの

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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 2025年3月末で、自治医科大学卒後9年間の義務年限が終わりました。 
4月からはご縁あって、地域医療学講座に採用いただき、気がつけばもう半年。 
あの「義務」から解き放たれた開放感があまりにも大きくて、正直、母校の存在すら少し忘れかけていました。 

 

感謝状が教えてくれた私の道 

 そんなある日、大学に大きな段ボールが届きました。差出人は、まさかの自治医科大学。
開けてみると、額縁に入った感謝状。そこには、「これまでの経験を生かし、医学医療の研鑽、そして地域保健医療の発展に努めるように」とのメッセージが。

 ふと、かつて先輩が言っていた言葉を思い出しました。
「義務年限が終わっても、周囲はあまり“終わった人”とは見てない。一生、ある意味での義務年限は続くと思った方がいいよ」と。
今となっては、すごくよく分かる言葉です。 

 実は、卒業直前もマッチングを経ておらず、卒後は県知事の指示で派遣された病院に勤務する生活。
今回の大学採用で、初めて正式な履歴書を書きました。
「在職証明書って何?」と調べるところからのスタート。
改めて、自分がこれまでどれだけ制度に守られて、一本道を歩いてきたかに気づいた春でした。 

 

原点とともに歩むこれからの道   

 そんな自分にとって、当講座の先生方と出会えたことは、本当に大きな転機でした。
当初は義務年限が終わったあとのビジョンも見えていませんでしたが、先生方との関わりの中で「山陰で総合診療・家庭医療をやっていきたい」と、自然と思えるようになりました。
この感謝状に書かれていた「大学からの期待」に、少しは応えられているのかな…と、今では思っています。 

 この感謝状、せっかくなので自宅のどこかに飾っておこうかなと思っています。
「原点」でもあり、「これからの指針」にもなりそうなので。 

 義務年限中、同じような中山間地域に派遣されていた先輩に言われたことも思い出します。
「義務年限は言われたルートをたどるだけだから、ある意味楽。終わってから、自分の道を決めるのが一番難しいんだよ」って。

ああ、そういうことだったんだな、と今なら胸にストンと落ちます。

 思い出すと言えば、研修医時代、手術中に整形外科の先生に「君、日本兵みたいだね」と言われたこともあります。
真面目すぎるという意味だったのでしょうか。
家族からも、たまに「衛生兵だ」と言われますが、そうやって冗談を言われながらも笑って続けていける仕事を、今やっと自分の意思で選べた気がしています。 

 

Author:三原  周


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