複雑な高齢者医療を支えるツール。CGA(高齢者総合機能評価)について
鳥取大学地域医療学講座発信のブログ「地域と医療のいま」です。
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みなさん、こんにちは。
鳥取大学医学部地域医療学講座の朴です。
今日は、複雑な高齢者医療を支えるツール、CGA「高齢者総合機能評価」(以下CGA)についてお話させていただきたいと思います。
突然ですが、高齢者の医療ってとても複雑です。
前回・前々回でもお話をしましたが高齢者の医療というのはとても複雑です。ご高齢の方は、身体的な問題・精神的な問題・認知機能の問題など体と心だけでも、様々な問題を抱えておられます。
さらに、社会的な孤立(独居)や社会生活への参加についての問題(買い物難民)など心身機能以外での問題も抱えておられることが多いです。これらの問題を、診察時間の中で我々医師が総合的に把握することは、とても大変なのです。
そこで、総合的に患者さんの状態を把握することができるツールとして活用されているのがCGAです。
身体機能・精神機能・認知機能・日常生活・社会生活など、様々な角度から現在の状態を把握できる質問表になっています。
高齢者医療は総合的な把握が重要。
私たち総合診療医は、短い診察時間とはいえ患者さんの疾患についてはもちろん、様々な心身状況・抱えておられる社会的な背景を理解した上で治療を進めていく事がより良い治療であると考えています。
もちろん、治療に関わるのは医師だけではありません。看護師・理学療法士などのリハビリ職・ケアマネージャー・介護士・栄養士など…非常に様々な職種が一人の患者さんに関わっています。
そして、一人の患者さんの問題に対して共通の認識をもって、治療のゴールに向かっていく事が重要です。そのために、職種間で情報を共有するためにも活用できるのが、CGAなのです。
なぜ、ここまで細かく状態を把握した上で治療を進めていくのか?
今かかっている病気を治せばいいのでは?そういう声もあるかもしれません。
しかし、高齢者の医療というのは「治療をして終わり。」というわけにいかないのです。治療後は、その先に「生活」があります。これは、高齢者だけに限ったことではありませんが、高齢者の場合はより、「生活」に関するサポートが重要となります。
私たち総合診療医は、患者さんの生活を支えるために何ができるか?を、常に考えて関わらせていただいています。
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