「自分で考える事」が苦手な、現代人
鳥取大学地域医療学講座発信のブログ「地域と医療のいま」です。
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みなさん、こんにちは。
鳥取大学医学部地域医療学講座の朴です。
今日は、「自分で考えることが苦手な現代人」について、お話します。
人生は、選択の連続で日々動いている。
今日はどんな服を着るのか?何色の靴を履くのか?どんな朝食を食べるのか?どんな道を通って通勤するのか?など・・・
人の一日は、選択の連続で出来ています。今、手にしているものや目にしている景色はすべて、自分自身の選択の結果です。物質的にもとても豊かな今、衣食住のどれをとっても選択肢はとても幅広いものです。
ひとたびインターネットで検索すれば、たくさんの情報を手に入れる事もできます。
その中で、私は何を選び取るのか?それは個人の自由です。しかし、「なぜ、それを選ぶのか?」その理由について深く考えたことはあるでしょうか?
実は、多くの人は無意識的に「既存の価値観」に当てはめて物事を選択していることが多いのではないか?という事が様々な所で言われています。
自分で考え、自分で行動することを学ぶ機会が少ない現代人
「既存の価値観」とは、「男性・女性とは、それぞれこうあるもの」とか「家族とはこういうものだ」とか、いつからそうなったのかわからないけど、誰もが持っている共通認識のような物だと思います。健康などに関して言えば、「野菜は健康的だ」といったことも含まれると思います。
こうした「既存の価値観」によって、多くの人は自分で考えることなく物事を選択している事が多いのです。
これは、日本の教育制度や日本の文化に大きく影響されたものだと考える事もできます。
「出る杭は打たれる」ということわざにもあるように、日本では誰もが同じ・平等といった価値観が強く根付いています。
また、自分の意思を主張せず奥ゆかしくあることが美徳という文化も根付いています。
もちろん、こうした価値観や文化が良い・悪いという事ではありません。
ただ単に、誰もが平等であり幸せな社会を創っていくためには、「既存の価値観」というツールが必要だったのかもしれません。
改めて、自分自身の選択について「なぜ、これを選んだのか?」と、自分自身で深読みしてみると面白そうです。
これまで気が付かなかった思いがけない自分に、出会えるのではないでしょうか?
オートマチックではなく、心を持った医療を
これから医療の世界にも、AI(人工知能)の技術がどんどん組み込まれていきます。
技術が取り入れられることでより便利に、より的確になっていく事と思います。
より便利で的確になることは、素晴らしい事ではありますが、「考える」という機会は少なくなっていくかもしれません。
平成生まれの医師も増え、ゆとり世代・さとり世代と言われる世代の医師も出てきました。
○○世代だから。と、ひとくくりにするのではなく一人一人と向き合いながらそれぞれの力を伸ばしてもらいたいと思います。
そして彼らも自分で考え、行動し、一人一人と向き合い関係性を育てていける医師であってほしいと願っています。
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