Preloader
 
Home / Blog / プライマリ・ケア連合学会の学術大会に行ってきました
198月 2024

プライマリ・ケア連合学会の学術大会に行ってきました

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
執筆、講演、研修、取材の依頼はお気軽にこちらからお問い合わせください。


 医者の仕事?の一つに学会に参加する、学会で発表を行う、というものがあります。なんのためか、と問われるといろいろと理由はあると思いますが、最新の知見を得たり、医師間の交流を行ったりすることが目的でしょうか。この6月に小生が所属する日本プライマリ・ケア連合学会の学術大会が静岡県は浜松市でありました。(〇〇学会が開催する学術大会のことを単純に学会、ということが一般的です)毎年1回開催されているこの学会はコロナ禍においてオンラインでの開催でしたが、一昨年から対面での開催を再開し、一昨年が横浜、昨年が名古屋、今年が浜松での開催となっています(来年は札幌での開催を予定しています)。今回は学会に参加したことについてブログを書こうと思います。

 

学会の基本的な流れと内容

一般的に学会ではワークショップやシンポジウム、講演にポスター発表などがあります。また講演の一部はオンデマンド配信として後日視聴することができます。複数あるセッションを自分で選択し、自分の興味のあるセッションを渡り歩きます。今回私は子どもを連れて2日間の参加だったのですが、初日はキッズツアーという託児サービスがあり、子どもをあずかってもらいながら近くの遊園地に子どもたちと一緒に遊んでくれるというサービスがありました。(通常の価格に比べて、学会から補助がある関係で、比較的安価にサービスを利用することができました)

全国から集まった子どもたちはあっという間に仲良くなって、帰ってくるころには〇〇ちゃんまた会おうねーと、とても仲良くなっていました。

子どもを預けている間に小生が訪れたのがポスターセッションです。研究や活動内容をポスターにして、それを前にしながらプレゼンテーションを行います。プレゼンテーション自体は1回限りのものですが、ポスター自体は学会期間中掲示されているため、自分の好きな時間に訪れて、興味ある内容をゆっくりとみることができます。

 

今回の学会で興味深いと感じた概念

 プライマリ・ケア連合学会の活動そのものが多岐にわたっているため、学会発表される内容も多岐にわたります。例えば、小生が興味深かったのはプラネタリーヘルスという概念です。プラネタリーヘルスは人々の活動と地球環境との相互作用に注目し、人間も地球も共に健康的な調和を目指す概念です(プライマリ・ケア連合学会HPより)。例えばわかりやすい例でいうと、気候変動に伴い気温の上昇に従って熱中症の患者さんの数が増加していることや、以前は一部の地域でしかみられなかった媒介生物による感染症の広がりなどが挙げられます。また医療も環境に与える影響は少なくなく、温室効果ガス排出に医療が影響する割合は5%程度と言われています。医療に従事する人間も、気候変動問題に無関係ではなく、意識をもった行動が求められています。

https://plaza.umin.ac.jp/jpca2024/planetary-health/index.html

 

活動報告と研究発表と多くの繋がり 

 活動報告や研究発表の発表もありました。小生も、以前当講座で取り組んだ絵本に関する活動報告をデジタルポスターで発表しました。デジタルポスターはその名の通り、デジタルモニターに発表スライド(pdf)を提示したうえでプレゼンテーションを行います。

小生発表の内容を簡単に紹介します。現在当講座のHP作成には、地元のクリエイティブスクールの受講生や卒業生が関わってくれています。彼らを対象に年に1回コラボ企画を行っています。内容は講座のアピールであったり、家庭医療の啓発を目的としています。過去にはフリーマガジン上でのスイッチインタビューや当講座HPのブログのバナーを提示されたこともありました。この一環として親子世代への家庭医をアピールする目的で絵本作成を行うことにしました。地元の子どもに読んでもらいたい、ということも考えて、鳥取県西部の特徴的なシーンや方言を絵本に込めて世に出しました。行政にも協力をしてもらいながら、鳥取県西部の保育所や図書館に寄贈させてもらいました。

こうした発表することで自分たちの活動を言語化してまとめることができますし、他の医療機関の活動を聞いたり知ったりすることで、いろいろな触発につながります。家庭医をアピールするための絵本を使った活動というのは参加者にも興味深かったようでいくつか質問を出していただきました。

こうしたオフィシャルな場所でのつながりも大事ですが、学会の多くで懇親会が企画されています。そうした場でざっくばらんに情報交換することで新たな活動が生まれることもあります。今回小生は鳥取と関わったことのある本学会参加者に声をかけさせていただき、懇親会を企画しました。その名もTottori nightです。遠州は浜松で、鳥取関係の人が40人ほど集まって、情報交換させていただきました。

とこんな感じで終わった今年のプライマリ・ケア学会。家庭医・総合診療に興味ある学生さんは参加費もかかりませんし、現地参加できなくてもオンデマンド・オンラインで参加できる企画もたくさんあります。

https://plaza.umin.ac.jp/jpca2024/registration/index.html

そして来年度は札幌です。ちょっとでも興味持ったよ、という学生さんがいましたらぜひ講座教員に声をかけてやってください。

 

Author:李 瑛


こちらのページは、鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
執筆、講演、研修、取材の依頼はお気軽にこちらからお問い合わせください。

BY tottori-idai-main 0