「普段と違う!」 - どんなときに救急車を呼ぶとよいか?
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家族や知人が体調を崩したときに、救急車を呼んだ経験はございますか?
私は、父が庭で倒れたときに迷わず119番通報しました。
父は息をしていなかったため、夜空にサイレンの音を響かせながら、心臓マッサージをしながら急ぎ病院に送りました。
このように、明らかにいのちの危険が迫ったとき、ひどいケガをしたときは、迷わず救急車を呼ぶことがほとんどでしょう。
「普段と違う」という「直感(気づき)」を大切に。
問題は、いのちにかかわるほど重症かどうか、迷うときです。
病院に着くまでに持ち直し、歩いて帰るまで回復することは少なくありません。
逆に、自家用車に乗せて病院を訪れたら、思いのほか重症であったことも多いです。
そこで、日常接している人の元気な時の様子からかけ離れ、「普段と違う」のではないかという「直感(気づき)」を大切にしていただきたいです。
例えば、うとうとして叩いても目が明かない、いつもよりも反応が鈍い、おしゃべりな人が急にしゃべれなくなった、手足に力が入らないときは、脳や全身に重大な病気が急に起こったと判断できます。
さらに、顔色がどす黒い、血色がない、何となく落ち着きがない、冷や汗をかいているというのも、重度の病気によって体内のしくみが大きく崩れたことを反映している可能性があります。
このように「普段と違う」様子は重症であることを意味します。
「症状がきつく耐えられない」、「苦しそうでみていられない」場合も、重症であることが多いです。
重症肺炎や心不全などの場合は、意識がもうろうとして、呼吸が2~3秒に1回とかなり速くなり、途中で息が止まりそうになることもあります。
あまり食べていないのに何度も吐く、震えが止まらないという症状は、全身の重大な病気が引き金になっていることがあります。
患者さんが「助かる」ことが重要。
救急車をタクシー代わりに利用するのはよくありません。
救急車や救急隊員の数は限られていますので、できれば重い病気の人に救急車を利用いただきたくのが理想的です。
でも、本当に重い病気かどうか、住民の皆さんが一見して判断できるでしょうか!?
一方、救急車を呼ぶことを周りに知られたくないので、119番通報をいやがる方もいらっしゃるでしょう。
救急車を使えば、患者さんを家から車に乗せ、車から病室に届けるまでの時間をかなり短縮できます。
また、車内で体調がさらに悪化しても、救急隊が適切な対応をしてくださいます。
いのちを助ける医師として、とにかく患者さんが「助かる」ことが重要だと考えています。
「普段と違う」、「苦しそうでみていられない」ことから、重症と思われる人には、救急車の利用をちゅうちょしないでいただきたいです。
Author: 浜田 紀宏
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