わらべうたにのせて
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以前、当時1歳目前だった娘が入院をしたことがありました。
本人は動き回りたいけどベッドからは降りられない。唯一、一緒に楽しめる方法として何冊もの絵本を転落防止の柵付きベッドに持ち込んで過ごしました。娘が特にお気に入りだったのがわらべうたの絵本で、ひたすらその本ばかり指定してくるので、言われるままに本を開いてうたった記憶があります。
後で聞いたところ付き添いを交代していた夫も全く同じ状況だったようで、今では「あのわらべうた合宿」といえばその時の入院のことだと話が通じるようになっています。
あの時は、わらべうたのあまり個人の感情が入らない声に出してみると楽しい言葉やリズムに救われていたような気がしています。
わらべうたが育むさまざまなこと
わらべうたや手遊びうたは大人の私たちも知っているものが多く、「ちいさい頃うたったな」と懐かしくなるものがたくさんあるかもしれません。
『歌声は贈りもの こどもと歌う春夏秋冬』(福音館書店)という白井明大さんの本は、立春から始まる二十四節気にそって、このわらべうたや童謡が紹介されています。「なるほど、季節が巡る度に行事や自然の情景をわらべうたにのせてうたっているんだな」「これは文化の継承や自然を感じる心を自分の記憶とリンクさせながら育んでいるということかもしれないな」と感じながら読みました。日常の中での大それたことのない、道具も必要のない遊びの中でです。
世の中の状況が様変わりしていても、しっかりと続いていること
2021年のお正月はコロナ禍で、例年とは違ったお正月になった方が多いのではないでしょうか。我が家も正月の実家帰省はなく、自宅でおせち(ほぼ買ったものを詰めただけ)を囲みました。「無理をしない」を決め込んでいたのもあってか、日常の延長線にあるハレの日で、「ささやかな」という言葉がぴったりの元旦でしたが、それでもお正月らしいことをしたからか、静かに気持ちが引き締まる感じを覚えました。
世の中の状況が様変わりしていても、世界中でその土地の文化は粛々と続いているんだなとも思ったりします。
なかなか思うようにはいかない世の中だけど、わらべうたみたいな小さな日常にのって文化や暮らしが続いている、と認識することで、なんとなく気持ちが軽くなったりしています。
大きな声で歌うのは今のご時世NGかもしれないけれど、わらべうたは力を抜いて口ずさむくらいがちょうどいい気がしています。声に出してみるとリズミカルで楽しめます。
季節を感じるのにいかがでしょうか。
Author: 戸田 詩織
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