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1011月 2025

鳥取の医療人文学フェローシップ 第1回セッションを開催しました(10月18日)

10月18日、鳥取大学にて「鳥取の医療人文学(Health Humanities)フェローシッププログラム」の第1回セッションを開催しました。本フェローシップは、総合診療医・家庭医を対象に、哲学やアートの実践を通して医療人文学の基礎を体系的に学ぶ全国初のプログラムです。2025年から2026年にかけて全12回のシリーズとして実施され、現象学とアートを軸に、医療の根底にある「人間理解」を深めていきます。

第1回のテーマは「医療人文学総論—医療と哲学・文学・アートの接点」。対面とオンラインのハイブリッド形式で行われ、全国から総合診療専門医・家庭医療専門医が6名参加。その他オブザーバーや外部講師も含め、医学生・初期研修医からアート系教員まで多様な領域の参加者が集いました。講義パートでは、講師の孫より医療人文学(health humanities)がどのように生まれ、どのように医療を変えていくのかという世界的な潮流を紹介しました。現象学の思想を手がかりに、「医療とは人間の行為を理解する営みである」ことを確認し、医療者教育における文学・映画・演劇・アートの意義を具体例とともに議論しました。鳥取大学での実践例として、シネメデュケーションやVTS(Visual Thinking Strategies)、プレイバックシアターなどの取り組みも紹介され、参加者同士の対話も非常に活発でした。

講義後はVTS(対話型鑑賞)のミニワークショップを行いました。題材はジョルジュ・デ・キリコの「ある一日の謎(Enigma of A Day)」。一つの絵でも非常に多様な解釈があることや、対話を進めていくことで新たな視点が開けてくることなどを体感し、非常に盛り上がりました。

また懇親会では、「自分の診療を哲学的に見つめ直すきっかけになった」「現象学をこんなに身近に感じたのは初めて」といった感想が寄せられ、今後の展開への期待が高まりました。

次回(12月)は、東京女子大学の榊原哲也先生を講師に迎え、「フッサールとプライマリケア現象学の基礎」をテーマに開催予定です。理論と実践、哲学とアート、そして医療をつなぐ新たな学びの旅が始まりました。

(孫)

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