腸管気腫症に関する症例報告論文が発刊されました
「血液透析患者における腸管気腫症による食欲不振:症例報告」というレター論文が、6月9日にJournal of General and Family Medicine誌にて発刊されました。
Son D, Inoue K, Lee Y, Kamimoto M, Imaoka S, Yamamoto S, Hamada T, Taniguchi S, Koda M. Anorexia in a hemodialysis patient due to pneumatosis intestinalis: A case report. Journal of General and Family Medicine, 2021.
https://doi.org/10.1002/jgf2.470
(上記から全文アクセス可能です)
論点は以下の通りです。
・ 血液透析患者で食欲不振と嘔気を発症し、腸管気腫症と診断された高齢男性を経験した
・ 良性の腸管気腫症であり、保存的治療(メトロニダゾール内服)にて軽快した
・ 致死性の合併症の徴候としては、門脈内または門脈腸間膜静脈内のガスなどが挙げられるが、この患者にはそれらは見られなかった
腸管気腫症自体はそれほど珍しい病態ではありませんが、血液透析患者に合併した症例の報告は多くありません。
食欲不振・嘔気の患者の鑑別診断の一つとして考えられる病態ですが、腸管気腫症は無症状のこともあります。致死的合併症のサインを見逃さないことが重要となります。
(孫)