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137月 2019

「声をつくる」

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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地域医療学講座の李です。
現在、当講座のHPを担当しています。
今年度から新たな取組みとして、教室員に文章を書いてもらうことにしました。
まずは自由テーマで教室員が好きに書いてみたいと思います。

トップバッターはリヨンが担当させていただきます。

 

月に1回、施設を訪問し、入所さんの健康状態などについて回診をする機会があります。
担当する医師は学生時代からお世話になっているI先生。
そのため、回診を終えた後には昔話に花がさくことも。

 

先日お伺いしたときには、ITの話題となった。

I先生は現在、専門学校でも教鞭をとっており、その学校ではGoogleなどを使いながら小テストを行ったりされているようで、当初はI先生は戸惑いながらも徐々に使いこなせるようになったようです。(そういえば学生時代を振り返るとI先生は以前からクリエイティブなことをされていた記憶が蘇ります)

その中で、最近I先生がハマっているITとして一つのアプリを紹介してもらいました。

「リ先生、これ知ってるかい?」

そんな話をしてくれるI先生は好奇心に満ち満ちています。
I先生のスマフォから、少しぎこちないI先生の声が聞こえてきます。

「リ先生、おはようございます」

「これ、録音したものではなくて、もしかしてAIか何かでしゃべらせてるんですか?」

なめらかではないものの、完全にI先生の声だったのです。
どうやら日本のある企業が開発したアプリで、自分の声を生成してくれるアプリだそうです。
I先生はどこで知ったのかこのアプリを御自身の仕事で何か使えないかを模索中なのだとか。
早速、小生も家に帰ってアプリをダウンロードしてみました。(無料です)

アプリから提示される例文を読むことでアプリが声を認識するようになり、例文を読めば読むほど発声者の声に似通ってくるんだそうです。
最初10文読んだ後のアプリからの声はまったくもって小生と異なるものでしたが、200文を読むとかなり似ているような気がしました。
ただし小生の場合は、会話の声と何かを音読する声がかなり異なるためか、アプリから聞こえてくる自分の声は非常に堅い印象をうけました。
ちなみに声を若くさせたらどうなるか、とか早さを変えるとか、明るさの変更なども簡単に調整できます。

 

おもしろい!

前述のI先生は講義のビデオを作ってみようと思っているらしく、その編集にこのアプリを使ってみたいとのことでした。
考えればいろいろと用途はありそうです。
長文の文章をコピー・アンド・ペーストすれば、その人の声で文章を読んでくれます。

 

しかしこれは大丈夫なのだろうか・・・。

このアプリを同僚に話したときに小生と同じように少し危機感を感じたようです。
例えばオレオレ詐欺に使われないだろうか。
小生の声の完成度はそこまででしたが、I先生の声はかなり似通っています。
あとは滑らかささえあれば本人がまるで喋っているようです。
耳の遠くなってきているおばあさんは騙されてしまいそうな気がします。

もちろん、そもそも声を作るためには、与えられた例文をひたすら読まなければならないので、簡単に生成はできないです。(なのでアイドルの声を生成したい、とかも簡単にできるものではないですよ)

 

それならこんな使い方はどうだろう。

身内の協力などを得ると、例えば元気な間に親や祖父母に言葉の生成をしておくと、親や祖父母が亡くなった後にその声が聴きたくなったときに聴けるんじゃないか、と考えたりしました。

私事ですが10年ほど前に祖父母が他界しましたが、亡くなった直後は会話ができないことを非常に寂しく感じることもありました。
あの時の寂しい思いはこういう技術があれば、満たされることができたのかもしれません。
こうした「記録」は媒体がデジタルである以上消えることはありません。
最近では主流となっているデジタルカメラで撮影した写真はデータとして保存されますので、生まれた頃から老いるまでの写真が保存され、いつでも見れます。

永遠に記録されるーデジタルが生んだ習慣なのでしょう。
ついに声も記録され、生成される時代になったわけです。
良い悪いというのは個人の価値観の違いに基づいてしまいますが、辛い記憶・悲しい記憶が忘れられる、というのも人間の良いところなのかな、と思ったりします。
亡くなった親族の声が生成されることなく、少しずつ忘れていくことも、ニーチェの言葉を借りるならば幸せなことなのかもしれません。

「幸福を幸福たらしめるものはただひとつ、それは忘れることができるということ」

― 忘却の思想史:ホメロスからプリーモ・レヴィまで 中山文庫 中山元

 

 

みなさんはこのアプリ、どんな風につかいますか?

 

Author: 李 瑛


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