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1212月 2022

いつまで続く? ~画面越しの人間関係~

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「帰るの早いけど、今日もズーム(会議)?」

「そう。9時からなので、食べたら先に風呂に入るわ。」

 ここ2年半、タブレット端末、スマートフォンやコンピュータの画面越しでの会議や打ち合わせが日常茶飯事となっています。外出する手間がはぶけ、家族と長く過ごすことができる一方、結局会議が夜にずれただけという気もしなくもないですが……。

 

 

もう対面には戻れない?

このようなリモート(ウェブ、オンライン)会議は、コロナウイルスなどのまん延がもたらした重要な社会変化と言えます。今やリモート会議は感染を防ぐために仕方なく行うのではなく、特に先進国では画面越しと対面の良さを使い分けながら人と交流する方向にすすみつつあります。

山陰に住む筆者は、東京や山陽地方に出かけるのは面倒で、あの振り子列車に酔い、満員電車で動きが取れず時間だけが過ぎていくのはまっぴらごめんと思っています。今後も遠方に移動する必要がなく便利なリモートが末永く続いてほしいと願っています。

 

 

リモートでも対面でも会議の仕方はそう変わらない

ソーシャル・ネットワーク・システム(SNS)で調べると、リモート会議のメリット、対面での会議と違いに関する記事や論評をみることができます。記事の中には「すべてリモートでやればいいじゃないか」と強くすすめる人もいます。筆者も以前はそう信じていました。

ただ、実際に会議を運営してみると、リモートでも対面でも会議の仕方はそう変わらないと気づくようになりました。そもそも、一緒に同じ時間を過ごし、参加者に満足していただけるかどうかは、企画者と司会者の準備と力量に大きく左右されます。これはリモート、対面でも同じです。
会議を行うのにあたって、「さあ、何を話しましょうか?」と言いながら時間を無駄遣いせず、最初の段階で当日語り合うことと達成目標を参加者とまんべんなく共有する必要があります。そのために、参加者に学んだり考えたりしてほしい内容は当日のスケジュール(時間割)と資料などであらかじめ伝えておくとよいでしょう。

また、司会者は参加者の様子を広く把握しながら、はっきりとした言葉で場を仕切ることも必要です。リモートでは人との距離が測りづらいという人がおられますが、司会者が意識すれば画面越しにいる人の様子を察するのはそう難しくはないと思っています。
そして、終了時間を厳守すること。参加者の貴重な時間をうばわないよう、司会者は決められた時間を守るよう努力することが必要です。次の会議に呼ばれている参加者にとって、この会議が終わらなければ次の担当者を長く待たせることになります。また、家族が食事を用意していたり、子供が一緒に遊んでくれるのを待っていたりするかもしれません。

 

 

リモート弱者に手をさしのべる

 リモート会議を強く推奨している人は、インターネットやネットワークに関する知識、高性能のパソコンなどをそろえる経済力があり、もともと参加者と顔なじみであることが多いかもしれません。一方で、画面越しで人と話すことにとまどっている人も少なくありません。

電波や音声の接続、画面の操作などは、初心者でなくても難しいことがあります。また、性能の良い端末に買い替え、外部マイクを接続するなど、出費が必要となることもあります。

若年層を対象とした調査結果によると、まわりに知人が少ない若年者ほど、職場や学校を離れてリモートで人とつながろうとするのに負担を感じやすい傾向がみられます。この2年半の社会変化により、学生(特に低学年)や若手社員の何割かは学校や職場から拒絶され、授業や実習などの貴重な教育機会や、見ず知らずの土地で新しい人間関係を築く機会をうばわれていると感じているようです。人と対面で接することが少なく、SNSなどの文字によるやり取りに疲れた若者は、社会からの孤立や人と会う恐怖にも悩まされていると言われています。

今後もリモート会議は日常生活で広く活用されるでしょうが、ときどき対面で対話や交流する場を用意するなど、情報社会のもとで痛手を負っている人たちが報われるよう、社会をあげてとりくむ必要があると感じています。

Author:浜田 紀宏


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